米CPI、10月上昇減速か 14日発表 S&P500に影響も
アメリカの10月のCPIは14日発表。物価上昇の強さが感じられれば、長期金利上昇や株価下落を招く可能性もある。
アメリカで14日に発表される10月の消費者物価指数(CPI)はさらなる上昇率低下が予想されている。金融市場ではこのところ、物価上昇が沈静化するとの期待が長期金利(10年物米国債利回り)低下と株高につながっており、10月CPIで上昇減速が確認されれば相場にとっては明るいニュースとなりそうだ。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は物価上昇減速への過度な期待を戒めている。CPIの結果次第では、約2週間にわたって上昇してきたS&P500種株価指数の勢いがそがれる可能性もある。
アメリカの10月CPIは総合指数の伸びが下がる予想
10月のCPIは米労働省が14日午前8時30分(日本時間14日午後10時30分)に発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、総合指数の伸び率は前月比0.1%となり、9月(0.4%)から減速する見通し。前年同月比では3.3%の予想で、やはり9月(3.7%)から低下しそうだ。一方、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は前月比0.3%との予想で、こちらは9月と同じ水準になる見込み。前年同月比でも前月と同じ4.1%が見込まれている。
米国の物価上昇をめぐってはこれまで、根強さと減速感を示すデータが入り混じってきた。1か月前に9月のCPIが発表された際は、総合指数の伸び率が予想を上回ったことで物価上昇圧力の強さが意識された。これに対して10月26日発表の2023年7-9月期の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率はコア指数で前期比年率2.4%まで下がるなど、物価上昇減速が感じられた。
物価上昇圧力の緩和への期待がS&P500を押し上げ
しかし11月に入ってからの金融市場では物価上昇圧力の弱まりを材料視する取引が優勢となっている。3日発表の10月雇用統計で非農業部門の就業者数の増加が前月比15.0万人に留まり、労働市場の過熱感の和らぎが賃金上昇の減速を通じて物価高を沈静化させるとの期待が広がったためだ。こうした中、FRBが追加利上げを行う必要性が薄れて、株価の重荷になっていた長期金利の上昇が止まるとの観測が、金融市場のムードを明るくしている。
実際、10月下旬に一時5%をつけた長期金利は、11月に入ってからは4.5-4.6%台での取引が続いている。また、S&P500(SPX)は8日まで8営業日続伸を記録。9日は値下がりしたものの、10日は再び約1.6%の上昇をみせて勢いを持続している。
物価上昇率に強さが感じられる可能性も
ただ、FRBのパウエル氏は9日のスピーチで物価上昇率を目標とする2%まで下げるには長い時間がかかるとの立場を強調し、今後も利上げを行う可能性が残っていると注意喚起した。パウエル氏は1日の記者会見では、これまでの物価上昇率の低下を歓迎していたが、先行きを楽観しているわけではないようだ。
このため14日に発表される10月CPIの結果を受けて、物価上昇圧力が根強いとの見方が金融市場で強まれば、長期金利の上昇や株価の下落につながる可能性がある。格付け会社のムーディーズ・インベスターズによるアメリカの信用格付けの見通しの引き下げや、米国の2024会計年度のつなぎ予算が17日に期限切れになるという不安要素もある中、10月CPIが相場のムードを変えるおそれもありそうだ。
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