豪ドル円下落、94円台前半 5か月ぶり トランプ関税も見通しに影響
豪ドル円相場の豪ドル安は、ドル円相場での円高進行に加え、オーストラリア経済の物価動向も要因。世界経済の混乱も豪ドル安要因になる可能性がある。
![豪ドル下落、5か月ぶり安値 94円台 トランプ関税も見通しに影響](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/uk/images/news-article-image-folder/Adobe_AUD_07-11-2024.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
豪ドル円相場が5か月ぶりの安値を付けた。日本時間10日朝の取引では一時、1豪ドル=94円台前半をつけ、2024年9月中旬以来の豪ドル安水準となった。背景には、ドル円相場での円高進行が大きく影響していることに加え、オーストラリアの物価上昇が落ち着くとの期待が出ていることもある。また、豪ドル相場の今後の見通しをめぐっては、アメリカのドナルド・トランプ大統領の政策運営も注目される。米中対立の悪化がオーストラリア経済に波及するとの見通しや、高関税政策がサプライチェーンを混乱させるとの見通しが強まれば、豪ドルにとってさらなる下落圧力として働くことも考えられそうだ。
豪ドル円相場は一時、94.32円 2024年9月以来の豪ドル安水準
豪ドル円相場(AUD/JPY)は日本時間10日朝、一時、1豪ドル=94.32円を付けた。ブルームバーグによると、2024年9月16日の安値(93.87円)以来、約5か月ぶりの豪ドル安水準となる。豪ドルはその後は買い戻され、95円台前半で取引されているが、1月下旬以降の豪ドル安の流れが続いている。
![豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/AUDJPY_candle_stick_20250210.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
豪ドル円相場での豪ドル安は、円高によってもたらされた側面が強い。ドル円相場(USD/JPY)では日本銀行が利上げを決めた1月24日以降、1ドル=156円台から150円台まで、3%超の円高が進行。一方、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)の値動きはこの間、0.18%の豪ドル安に留まっており、豪ドル円相場への影響は限定的だったといえそうだ。
![豪ドル、円、ポンド、ユーロの対ドル相場の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/4currencies_value_against_USD_20250210.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
オーストラリアのCPIは10-12月期に2.4%に RBAの2月利下げ確率は91%に
ただ、豪ドル安の背景には、オーストラリア経済の動向もある。1月29日に発表された2024年10-12月期の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が前年同期比2.4%。ブルームバーグがまとめた市場予想の2.5%を下回る結果だった。こうした中、金融市場ではオーストラリア準備銀行(RBA)が17、18日に開く理事会で利下げを決めるとの見通しが拡大している。ブルームバーグによると、投資家の動向から算出される利下げ確率は、日本時間10日午前11時現在で91%程度となっている。
![オーストラリアの消費者物価指数(CPI)の伸び率の推移のグラフ](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/Australia_CPI_monthly_and_quarterly_20250210.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
投資家のリスク回避姿勢は豪ドル安要因に 米中対立悪化見通しも影響か
また、このところの豪ドル相場は、金融市場のリスク回避姿勢でも動かされた。中国の人工知能(AI)開発企業「DeepSeek(ディープシーク)」が低コストで高性能なAIを開発し、米国の半導体企業の優位性が揺らぐとの見方が投資家のリスク回避姿勢を強めた1月27日からの値動きでは、豪ドルはドルに対して値下がり。29日の10-12月期CPIを受けたRBAの利下げ見通しの強まりもあり、27日から30日にかけての4営業日で1.66%の豪ドル安となった。
豪ドル相場の今後の見通しをめぐっては、米中対立も材料視される可能性がある。トランプ氏は4日に中国製品に対する10%の追加関税を発動。中国側も米国からの輸入品に報復関税を課す意向を示している。こうした米中対立が中国経済の復調を遅らせるとの見方につながれば、中国経済と関連が深いオーストラリア経済を下押しするとの見通しが強まり、豪ドル安圧力として働く可能性がある。
またブルームバーグによると、トランプ氏は9日、大統領専用機の中で記者団に対し、鉄鋼・アルミニウム製品に対する25%関税を10日に発表すると述べた。トランプ氏は7日の日米首脳会談後の共同記者会見でも、米国からの輸入品に関税をかけている国に対する「相互的な関税」を早ければ10日に発表するとしている。トランプ氏の高関税を駆使した通商政策はサプライチェーンの混乱につながるおそれもあり、投資家のリスク回避姿勢の強まりが豪ドル安要因になる筋書きも考えられそうだ。
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