円高一時144円台 円に買われやすさ 日米金利差縮小見通しは継続か
ドル円相場は21日朝に1ドル=144円台後半をつけた。様子見ムードの中でも円は他通貨よりも買われやすく、さらに円高が進む可能性も。
ドル円相場で円高がじわじわと進行している。21日の東京市場では一時、1ドル=144円台後半をつける場面もあり、15日につけた149円台から4円以上の円高となった。FX市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の動向を見極めようとする様子見ムードも出ているが、円は他通貨にくらべて買われる度合いが強いようだ。背景にあるのは、日本銀行が利上げを見据える中で、日米の金利差が3%ポイント割れまで縮小してきたという環境。今後、アメリカからの経済指標などで、米国の利下げが日米金利差を縮小させる見通しが強まれば、さらに円高が進む可能性がある。
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ドル円相場は一時、144.92円 15日から4円半の円高
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間21日朝に1ドル=144.92円をつけた。20日のニューヨーク市場の終値(145.25円)からさらに円高が進んだかたちだ。ドル円相場では15日に円安が急進し、一時、149.39円をつける場面もあったが、ここから4.47円の円高が進んだといえる。
アメリカの就業者数改定などを前に様子見ムードも
FX市場では米国で21日午前10時(日本時間21日午後11時)に労働省が発表する就業者数の年次改定や、その4時間後に公表される7月末の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容を見極めようとするムードも強い。それにも関わらず円は他通貨に比べて買われる度合いが高いようだ。
米国の7月小売売上高の堅調さなどが経済の見通しを明るくしてドル高が進んだ15日を起点としてみた場合、円はドルに対して2.8%強くなっているが、豪ドルやユーロ、ポンドは2%未満の上昇率。直近4週間の値動きをみた場合でも、円はドルに対して6%程度強くなっており、他通貨の数%程度の上昇を上回っている。
日米の金利差は3%割れ 今後も縮小傾向が継続か
円が買われやすくなっている背景にあるのは日米の長期金利(10年物国債利回り)差が縮小していくとの見通し。LSEGのデータによると、20日終値時点での日米金利差は2.928%ポイントで、2日連続で3%ポイントを割り込んだ。0.8%台で推移している日本の長期金利が8月初めまでのように1%台まで戻っていけば、さらに金利差が縮小する可能性がある。日銀の植田和男総裁は7月31日の金融政策決定会合後の記者会見で、追加利上げも辞さない姿勢を示しており、9月利下げが視野に入っているFRBとの違いが鮮明だ。
FRBパウエル議長のジャクソン・ホールでの発言は?
こうした中で、米国の就業者数が大きく下方修正されたり、FOMC議事要旨で労働市場の悪化への警戒感がみられた場合は、FRBの利下げ見通しが強まり、ドル円相場では円高圧力として働きそうだ。CMEグループのデータによると、9月17、18日のFOMCでの利下げ幅が0.5%になることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間21日午前11時現在で29%。0.25%幅の確率は71%となっている。
また、FRBのジェローム・パウエル議長は米国東部時間の23日午前10時(日本時間23日午後11時)に、ワイオミング州ジャクソン・ホールでスピーチする予定。ここで労働市場についてどのような言及があるかも、ドル円相場の今後の見通しを左右する可能性がある。パウエル氏は7月31日のFOMC後の記者会見で労働市場の堅調さを強調していたが、8月2日に発表された7月雇用統計では失業率が4.3%まで高まった。新たな経済指標を踏まえ、パウエル氏が発言の軌道修正を行うかが注目点だ。
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