日経平均に反発期待 週次大幅安でも大台維持 円安急進で上昇見通し
日経平均株価は週次1193円安ながら3万8000台を維持。米国雇用統計を受けた円安は149円まで進んでおり、週明けの追い風になりそうだ。
日経平均株価に反発期待が高まっている。日経平均の4日の終値は1週間前比1193円安で、前週の2105円高の半分超が吹き飛んだ。しかし3万8000円台には踏みとどまっており、粘り腰をみせたともいえる。日経平均を下支えしたのは、石破茂首相が日本銀行の利上げに慎重姿勢を示し、ドル円相場が円安に振れたこと。また東京株式市場の取引終了後に発表されたアメリカの9月雇用統計は、円安を一時、1ドル=149円まで押し進めており、見通しへの光は強まった。一方、東京エレクトロンなど半導体株の下落率には厳しさも感じられ、中東情勢への不安も投資家心理を暗くする要因だ。このため日経平均をめぐる今後の見通しが暗転する可能性も残されている。
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日経平均株価は週次1193円安 3万8000円台は維持
日経平均(N225)の4日の終値は1週間前比1193.94円安の3万8635.62円だった。前週は9月27日の自民党総裁選挙で日銀の利上げを牽制した高市早苗氏が勝利するとの期待で円安が進み、日経平均は2105円高という大幅上昇。しかしその後の1週間で、この大幅高の半分以上が消えたことになる。27日の東京株式市場の取引終了後に決着した自民党総裁選で高市氏が敗れたことで円高が1ドル=141円台まで進み、週明け30日の日経平均が前週末比1910円安となったことが響いた。
石破首相の利上げ牽制とアメリカの雇用統計で円安149円
一方、日経平均には思わぬ追い風が吹いた。石破茂首相が10月2日夜、日銀の植田和男総裁との会談後、記者団に対して「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言したことだ。石破氏が高市氏と同様に日銀の利上げを牽制したことになり、円安が進行。翌3日の日経平均は743.30円高となった。4日の終値でも3万8000台を維持しており、自民党総裁選をめぐる大混乱の後としては堅調な結果といえる。
また、日本時間の4日深夜に発表された米国の9月雇用統計は就業者数の伸びが3月以来の大きさになるなど、堅調な結果だった。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しは後退し、長期金利(10年物米国債利回り)は3.981%まで上昇した。LSEGによると、ドル円相場(USD/JPY)は日本時間5日未明に一時、1ドル=149.00円をつけている。円安進行は2023年以降の日本株の上昇の追い風になってきただけに、日経平均の見通しが明るくなったといえる。
中東情勢悪化懸念も 日本製鋼所など防衛、資源関連株は上昇
また、中東情勢の見通し悪化も投資家のリスク回避姿勢を強める要因だ。イスラエルによるレバノン南部への侵攻とイランによるイスラエルへのミサイル攻撃が起きた翌日にあたる2日には、日経平均は前日比843円安となった。
一方、中東情勢緊迫をめぐる週次の値動きでは、石油や天然ガスの開発を手掛けるINPEX(1605)が10.65%高、火砲や装甲車などの防衛関連事業が好調な日本製鋼所(5631)が8.00%高になるなど、株価にプラスの影響も出ている。安全資産とみなされる金関連銘柄の住友金属鉱山(5713)も週次で4.18%上昇した。しかし日経平均への寄与度はINPEXと日本製鋼所がそれぞれ2.74円、住友金属鉱山も3.04円にとどまっている。
イスラエルとイランの対立が中東での戦火を拡大させれば、原油価格上昇が世界経済を揺さぶることも考えらえる。米国経済の安定化という好材料はあるものの、日経平均の今後の見通しをめぐる不確実性が消えたわけではなさそうだ。
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