日経平均、底打ち期待も 3週続落も割安感で粘り 円高見通し重荷
日経平均株価は週次75円安で、3万8000円の大台を維持。底打ちへの期待を感じさせた。ただし円高がさらに進めば、反発の勢いがそがれそうだ。
日経平均株価が粘りを見せている。29日の終値は1週間前比で75円安。3週連続での値下がりとなったが、3万8000円の大台は維持した。日本銀行の利上げ見通しの強まりで円高が急進するという逆風はあったものの、大崩れは回避した形だ。日経平均は7月につけた最高値から9%超値下がりする中で、割安感も出ており、底打ちへの期待も感じさせている。ただし円高がさらに進行すれば海外投資家の日本株離れが定着する恐れはあり、日経平均の反発の勢いがそがれる可能性は拭えない。アメリカの株式市場の快走が続く中でも、日経平均の今後の見通しには不透明感が強い。
日経平均株価は週次75円安 3万8000円台を維持
日経平均(N225)の29日の終値は1週間前比75.82円安。日経平均は半導体株の見通しが悪くなる中で、前週(18-22日)まで2週続落となっており、値下がりの流れは止められなかった。ただし値下がり幅は3週の中では最も小さく、終値で3万8000円台を割り込むこともなかった。
アドバンテストだけで日経平均を317円押し下げ 東京エレクトロンは反発
個別銘柄の値動きをみても底堅さは感じられる。日経平均の足を引っ張ったのは週次で12.78%安となった半導体検査装置のアドバンテスト(6857)で、317円の押し下げ効果を生んだ。半面、アドバンテストを除く224銘柄で考えれば、日経平均は週次での上昇を維持できたともいえ、今後の見通しには期待ももてる。
円高は149円台まで進行 日経平均には割安感も
こうした日経平均の粘りはドル円相場(USD/JPY)での円高という逆風を跳ね返している。ドル円相場では、29日に発表された11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)速報値の伸び率が市場予想を超えたことを機に円高が急進し、約5週間ぶりの円高水準となる1ドル=149円台に突入。株式市場ではトヨタ自動車などの自動車株が売られるなどした。とはいえ29日の終値は前日比でみれば0.37%安で大きな値崩れとはいえず、見通しは暗くならなかった。
日経平均の底堅さにの背景には割安感がありそうだ。ブルームバーグによると、日経平均の水準と構成銘柄の今後12か月の予想収益を元に算出した株価収益率(PER)は19.3倍程度で、2020年以降の平均値(19.5倍程度)を下回っている。29日の日経平均の終値は7月11日につけた最高値(4万2224.02円)から9.51%安となっており、日本株は売られすぎだとの見方も成り立つ。
円高の見通しは引き続き重荷 海外投資家の売り越しは9週ぶり大きさ
ただ、ドル円相場での円高がさらに進めば、日経平均株価への下押し圧力も強まりそうだ。円高の背景には、日本銀行が12月18、19日の金融政策決定会合で利上げを決めるとの見通しに加え、アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)の低下があり、日米双方からの円高材料が投資家心理を揺さぶっている。ブルームバーグによると、ドル円相場は29日の東京株式市場の取引終了後も円高が進み、一時、1ドル=149.47円をつけた。
日本取引所グループが毎週発表している部門別売買動向を東京証券取引所と名古屋証券取引所の合算ベースでみると、海外投資家は18-22日週に日本株を3300億円売り越しており、9月16-20日週以来9週ぶりの大きさとなっている。円高を背景にした海外投資家の日本株離れが定着すれば、日経平均の反発の足かせになることは避けられない。
米国の株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)の2023年末比での上昇率が26%を超え、11月末としては11年ぶりのハイペースとなっている。これに対して日経平均の年間上昇率は14.18%に抑えられており、今後の見通しをめぐっても日経平均とS&P500の差が目立ってくる可能性がありそうだ。
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