米国株、ハイテク決算で見通し悪化 S&P500に重荷 エヌビディア焦点
大手ハイテク企業の株価は1月下旬の決算発表後の下落が目立つ。異例の強さをみせるメタも割高感が増してきた。今後の値動きはS&P500の見通しも左右する。
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アメリカの株式市場が大手ハイテク企業の決算発表に冷ややかな反応を示している。2024年10-12月期決算発表を終えた大手ハイテク6社のうちアルファベットなど4社は発表から足元までに株価が下落。いずれも収入の成長減速や収益悪化の懸念が悪材料になった。一方、SNS大手のメタ・プラットフォームズは成長性が評価されて14日までに20営業日続伸という異例の上昇をみせているが、徐々に割高感も高まっている。時価総額の大きい大手ハイテク株の不振はS&P500種株価指数の上昇の足かせとなる要因で、今後の見通しをめぐっては、AIブームの立役者である半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が26日に行う決算発表の重要度が増しそうだ。
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大手ハイテクの4社が決算発表以降に株価下落 アルファベットは10.25%安
「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社は1月29日から順次、決算発表を実施。このうち決算発表後の値動きが最も悪かったといえるのが、アルファベットだ。アルファベットの株価(GOOGL)の2月14日の終値は185.23ドルで、決算発表当日(4日)の終値との比較で10.25%安となっている。AIサービスの提供基盤であるクラウド事業の成長減速と、2025年の設備投資上積み見通しが収益圧迫要因として意識された。
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テスラは完全無人運転への期待が失速 マイクロソフトやアマゾンはAI投資が重荷
また、1月29日に決算を発表した電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA)も足元までに8.55%安、マイクロソフト(MSFT)も7.66%安と不振だ。さらに2月6日に決算発表を行ったアマゾン・コム(AMZN)も同様に4.25%安となり、株価の見通しが悪化した。
このうちテスラの決算発表では完全無人運転の有料運行をテキサス州で始めると明かにされたことがサプライズとなり、一時は株価が上昇。しかし総収入も1株当たり利益も市場予想に届かない悪い決算だったこともあり、その後、株価は失速している。AIサービスの拡大を進めるマイクロソフトとアマゾン・コムもアルファベットと同様に成長鈍化が業績の見通しを暗くした。
メタは足元まで20営業日続伸 成長率の高さが際立つ
こうした中でも株価が勢いづいているのがメタだ。メタの株価(META)は1月29日の決算発表を挟み、17日から2月14日にかけて20営業日続伸。この間の伸び率が20.51%に達している。決算発表から足元までに限ってみても12営業日続伸の8.90%高だ。
メタの業績を他の各社と比べると、成長率の高さが際立つ。10-12月期の総収入の伸び率は前年同期比20.6%増で、直近の4四半期の平均では22.2%となる。メタに次いで成長率が高いマイクロソフトでも平均15.1%にとどまっており、メタに投資家の人気が集中している形だ。
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メタはAI投資が収益に貢献か 割高感の強まりは株価の見通しに逆風
一方では、メタもAIサービス拡充のために設備投資を積み増しており、収益圧迫要因となりえる。メタの10-12月期の設備投資額の総収入に対する比率は30.7%で、マイクロソフトの32.5%に次ぐ、規模の大きさだ。ただ、マーク・ザッカーバーグCEOはメタのAIはSNS上に掲出する広告の最適化などに活用されて効果を上げていると説明しており、「収益アップにつながるAI開発」という投資家の期待に応えている側面もある。
ただ、メタの株価もこのところの値上がりで徐々に割高感が出てきた。ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は14日時点で28.1倍程度となっており、20連騰前の21倍程度から大きく上がっている。メタの株価の割高感がさらに高まっていけば、株価の見通しにとって逆風になることも考えられそうだ。
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エヌビディアは26日に決算発表 S&P500の見通しに影響も
大手ハイテク株は時価総額が大きく、S&P500(SPX)への影響度が大きい。各社の決算発表後の冴えない値動きは、S&P500全体にとっての重荷といえる。S&P500は2025年に入って3.96%高という好調さを維持しているものの、1月23日を最後に最高値更新から遠ざかっており、大手ハイテク企業の決算発表は力不足だった形だ。
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こうした中で投資家の注目は26日に行われるエヌビディアの2024年11月-2025年1月期決算に集まる。エヌビディアはAI開発向けの高性能半導体の供給元で株式市場におけるAIブームを代表する銘柄。ブルームバーグによると、エヌビディアの時価総額は3兆4000億ドルとなっており、マイクロソフトやアップル(AAPL)と首位を競い合う存在だ。
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S&P500が2024年に23.31%高となった力強さは、エヌビディアの株価(NVDA)が1年で2.7倍となって相場を盛り上げたことも要因のひとつ。エヌビディアの決算発表の内容が投資家の評価を得られるかどうかは、S&P500の今後の見通しを左右する可能性もありそうだ。
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